投票はヤンゴン、エヤワディ両被災管区の一部を除き約2500万人の有権者を対象に行われ、最終結果は24日に延期された地区の投票終了後に発表されるとみられるが、投票の秘密確保や集計の公正さを早くも疑問視する向きは多い。
新憲法は、軍総司令官が緊急時には全権を掌握すると明記。また、大統領は両親ともにミャンマー人で配偶者や子供が外国籍ではならないとし、自宅軟禁中の民主化指導者、アウン・サン・スー・チーさんの就任を排除する内容で、軍政の権限をより強めるものだ。
一方、ヤンゴンの消息筋によると、復興の遅れに不満をつのらせる国民や下級兵士の間からは、「災害は現政権が終わる不穏の兆候ではないか」とのうわさも出始めているという。ミャンマー仏教は「十戒」として殺生や金銭の受領、飲酒などを厳しく禁じており、信心深い国民は、軍政がこうした戒律を軽んじてきたことが、今回の災害につながったとみているというのだ。
こうしたなか、同国に届いた国際支援物資は、ほとんどがヤンゴン国際空港に足止めされていたが、軍政側は受け取った物資の箱に張られた米欧などの国名が書かれたラベルを、軍政首脳の名前のラベルに張り替えて配給している。国営テレビは、タン・シュエ国家平和発展評議会議長が被災者らに手渡す場面を繰り返し放映。軍政が支援を行っていることを強調することで、軍政に対する信頼を回復する狙いのようだ。
しかし、国内最大のコメの生産地であるイラワジ川下流地域が被災し、今秋のコメの収穫量が激減することは確実。輸入に頼るガソリンや軽油の価格も、両管区の港湾施設が壊滅的被害を受け、高騰は不可避だ。
ヤンゴンの別の消息筋は、「100万人以上が被災しながら、初動の遅れが示す危機管理の欠落などを考慮すると、軍政中枢部の掌握力が軍内でも問われる可能性も否定できない」と指摘した。
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