長野市で行われる北京オリンピックの聖火リレーのスタート地点を辞退した善光寺で、20日朝、国宝に指定されている本堂にスプレーで落書きされているのが見つかり、警察は建造物損壊などの疑いで調べています。
20日午前5時40分ごろ、長野市にある善光寺の国宝の本堂の柱などに落書きされているのを善光寺の職員が見つけ、警察に通報しました。警察の調べによりますと、本堂の西側の柱の2か所と北側の柱と扉の4か所のあわせて6か所で、高さ3メートルぐらいの所に白のスプレーで直径50センチほどの模様や線が書かれていたということです。善光寺の現在の本堂は300年前に再建された「撞目(しゅもく)造り」と呼ばれる木造建築で、昭和28年に国宝に指定されています。善光寺の境内は24時間自由に出入りでき、19日夜11時ごろ、寺の職員が見回りをしたときには異状がなかったということで、警察は、19日夜から20日朝にかけて何者かが落書きしたものとみて建造物損壊などの疑いで調べています。善光寺は今月26日に長野市で行われる北京オリンピックの聖火リレーのスタート地点に予定されていましたが、世界各地の聖火リレーでチベット問題をめぐる中国政府への抗議行動が続いたことなどから、18日、スタート地点の辞退を長野市に申し入れ、善光寺には、19日だけでも辞退に賛成、反対の電話が100件近くかかっていたということです。善光寺の若麻績信昭寺務総長は「貴重な文化財に落書きをされ、たいへん遺憾だ。聖火リレーが行われるまで警戒を強めていきたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/t10014096821000.html
同寺の幹部は18日昼過ぎ、記者会見をして、チベットの人権問題なども理由に出発会場を引き受けられないと表明。寺事務局によると、その直後から電話がかかり始め、同日だけで100本ほどにのぼった。「英断だ」「何事もなく済みそうで安心した」などと賛意を示す声がほとんどだった。ただ、「なぜ、辞退してしまったのか」と問いつめる電話も数本あったという。
19日朝も電話は鳴り続けたが、前日に比べれば少なくなってきているといい、担当者は「一段落がついた。皆様にはご迷惑をおかけしました」と話していた。
長野市の実行委員会では19日朝、全戸配布する予定だったコースや善光寺本堂の写真を載せたチラシを差し替える作業の確認を始めた。チラシは今月初めに一度配布し、同じものをリレー直前に配る予定だったが、突然のコース変更で、「印刷をかける前で良かったが、間に合うかどうか……」と話していた。
長野市は善光寺が辞退した出発式の会場の代替地として、善光寺の参道から約500メートル西側の公共施設跡地に絞り込んだ。近く正式決定する。市は新たな会場として4か所を検討。そのうち、勤労者福祉センター跡地は県道沿いの更地で会場設営が容易なうえ、善光寺が辞退した3区間(約550メートル)とほぼ同じ距離で当初のコースに合流でき、市は最も条件がよいと判断している。
長野市役所に同日午前、善光寺幹部らが訪れ辞退を申し入れた。
理由について、記者会見した善光寺事務局の若麻績信昭寺務総長は「チベットの宗教指導者が立ち上がり、それに対し弾圧しているので、仏教の寺として考えた」とし、文化財や一般信者の安全上の問題に加え、チベット問題が理由であることを明らかにした。
辞退は同日午前の特別会議で決まったといい、善光寺の総意だとした。
住職の1人は18日朝、取材に対し「われわれはチベット人と同じ仏教徒との気持ちが強かった」と話した。
長野市は新ルートについて「週明けでは間に合わない」としており、早急に検討し土日にも決めたい考え。「できる限り変更のない形で考えたい」としている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008041800453