同県への中国国家主席の公式訪問は初めて。
午前9時50分、法隆寺に到着し、出迎えた大野玄妙(げんみょう)管長から、金堂や五重塔など世界最古の木造建築の説明を受けた。胡主席は「聖徳太子は日本の国に仏教を広められ、法隆寺を建てられた。寺に残されているものは両国の交流の結晶ですね」と語った。続いて訪れた唐招提寺では、「鑑真(がんじん)和上坐(ざ)像」(国宝)に拝礼。友好の証しとして、唐時代の船の木製模型(長さ1・5メートル、高さ0・55メートル)を寄贈した。
沿道や寺では約3000人の警察官が警備に当たった。法隆寺前では、数人の男性が「フリーチベット」と叫ぶなどしたが、警察官が抱きかかえて立ち退かせた。
中国外交部の秦剛報道官は8日の定例記者会見で、来日中の胡錦濤国家主席が講演のため早稲田大学を訪れた際、チベット問題での抗議に遭遇したことに関して、一握りの者による騒音で日中関係の前進が妨げられることなないと述べた。
秦報道官は、「チベットなどの問題で、日本政府の態度は明確で一貫している。日本政府と人民は、中国政府と人民が国家主権と領土を守ろうとする決意と努力を支持している」、「今後も引き続き、理解と支持をしてくれると信じている」と述べた。
更に秦報道官は、「一握りの者による騒音で、中日関係の発展・前進の道と、両国人民の友好の時代の潮流が阻止されることはない」とした上で、「どれだけ(騒音の)デシベルが大きくとも我々は彼らに対し、チベットは中華人民共和国の領土から切り離せない一部分であり、チベットの歴史の進歩を押しとどめることは不可能だと言う」と述べた。
中国は5月4日に対話を行うなど、ダライ・ラマ14世側に対する姿勢は柔軟性を見せはじめたが、独立要求に対する厳しい非難は従来通り。また、これまで首脳の外遊先で抗議活動が発生した場合に不快感を示すことがあったが、今回は問題にしない態度を示した。(編集担当:如月隼人)
中国情報局
湖北省武漢では「チベット独立に反対し、五輪を支持しよう」や「フランス製品にノーと言おう」と書かれた旗を持った抗議者らによるデモが行われ、安徽省合肥や雲南省昆明でも同様の抗議活動が仏小売り大手カルフール<CARR.PA>店舗の外などで行われた。
北京では小規模の抗議デモがカルフール店舗で行われたが、警官により止められた。また、フランス大使館近くでも聖火リレーに対する妨害行為への抗議が行われたものの、機動隊が同大使館に続く道を封鎖し、抗議団体はすぐに解散した。
フランスは聖火リレーの妨害活動が「非常に少数の人」によって行われたものであると釈明し、フランス製品ボイコットの回避に努めている。中国で100店舗以上を展開するカルフールも北京五輪を支持する姿勢をあらためて示した。
画像 4月19日、パリでの聖火リレー妨害を受け、中国各地でフランス製品のボイコットなどを呼び掛ける抗議デモが行われた。写真は安徽省合肥のカルフール店舗で、トラックをとめて人々が集まるのを防ぐ中国の当局者(2008年 ロイター)
抗議活動は、カルフールの入り口付近にある広場で、午前10時(日本時間同11時)ごろに起きた。中国国旗を手にした若者らが広場に集合、買い物客ら数百人が周囲を取り囲む形となった。
公安当局の約100人が店内などから出てきて、すぐに若者らを排除。「大学に戻るように」などと呼びかけ、抗議の横断幕を没収したほか、一部の若者をバスなどに乗せて別の場所へ移動した。
カルフールは当時、通常通りに営業していた。抗議活動が起きた後も、公安が入り口付近を引き続き警戒しながら営業を続けた。
武漢では19日にも、大学生ら約2千人が「五輪を応援し、祖国を愛す」などと書いた赤い横断幕や中国国旗を掲げながらカルフールまでデモ行進。抗議は同日夜まで続き、若者ら300人以上がシュプレヒコールを叫んだ。(武漢共同)